〝サステナブル〟をもっと身近に! オーバーライドはみなさんと新しいことをはじめます
お会計の際にレジにてショッパーを辞退していただくと、森林保全団体「more trees」に10円が寄付される取り組みが、8月6日から全店舗で一斉にスタートします。3年越しにようやく実現したというこのプロジェクト。その裏にあるストーリーは?またmore treesとは一体どんな団体?
今回はmore trees事務局長・水谷さんをお招きし、当社(株)栗原のサステナブルチームの安藤と対談を敢行。取り組みの内容について、お話を伺います。
〝持続可能(=サステナブル)な社会〟を目指す意識が高まる今、よく耳にするとは言え、いざ説明しようとすると言葉に詰まってしまう… そんなあなたもオーバーライドと一緒に知ることから始めませんか? ラフな気持ちでちょっぴり覗いていってみてください。
more treesとは?
水谷:音楽家・坂本龍一さんが呼びかけ2007年に設立された森林保全団体で、今年で14年目になります。坂本龍一は、本業である音楽家としての活動の傍らでいろいろな社会問題・社会活動に関心を持ちコミットしていくなかで、森林に関わる問題は世界規模かつ危機的状況にあると感じ、立ち上げました。more treesという名前も本人がつけたものです。
何をやっているの?
水谷:わかりやすく言うと森づくりです。今、地球規模だと1秒間にテニスコート15面分の森林が失われていると言われています。記憶に新しいところでは、南米アマゾンやオーストラリアの火災などがあると思うのですが、それに限らず、特に90年代から今に至るまで世界の至る所で森林の破壊や火災現象が起きています。そこで、海外では木を植える活動をメインにしていて、現在はフィリピンとインドネシアで植林活動をしています。
ただ日本はというと、現在国土の67%くらいが森林に覆われるくらいになっていて。世界的に見ても非常に稀なんですが、これは戦後に「木材が足りない」ということで、スギやヒノキをかなりたくさん植えた結果です。
安藤:半分以上森なんて、すごいことですよね。
水谷:そうなんです。海外からわざわざ木材を輸入しなくても、実は日本人が使う木材は自給できるくらい山に資源は育っている。ですが、貿易の自由化などによって、海外の木材が入って来た結果、この20~30年、日本の林業が衰退しているという現実があります。そんななかで、前述の将来使う目的で戦後に植えた木々は今ちょうど収穫期を迎えている。それらをちゃんと使っていくということが大切なのですが、それ以前に生えっぱなしになっている森もたくさんあるので、〝間引く〟という森のメンテナンス作業も同時に行っています。そして、そのプロセスで生じた木材をちゃんと使っていこうというようなことが、日本国内でこれまでやってきたメインの活動ですね。
プロジェクトで集まった寄付金はどんな活動に使われる?
水谷:多様性のある森づくりに生かしていきたいと考えています。さっきお話したようなことから、近年は国も木材自給率をあげようとしていて、成熟し収穫期を迎えたスギやヒノキをどんどんマーケットに出すことを奨励しているんです。そうすると間引く(=間伐)のではなく、皆伐と言って100メーター四方くらいの森を全部切る山も中には出てきます。そして禿山になる。そこにスギやヒノキを植えた戦後よりもっと前に生えているはずだった多様な種類の木を植林していくという活動を行っています。
スギとヒノキばかりで構成されていた日本の森を、気候風土に合った本来の自然に近い植生に、多様性のある森に戻す。そういう活動に生かしていきたいですね。そして50年後、100年後に例えば「この栗の木いいな」っていうものだけを1、2本使ったりできるような… 全部バサッと切るのではなく、人と森との距離感がいい塩梅になる森のあり方を再提案しているんです。
今回の取り組みのきっかけ
安藤:会社として〝サステナブル〟がスタンダードに求められるこの先の時代に、ブランドみんなが関われる環境にいいことがいいな、と何か取り組めることを探していました。そんなとき、あるショップのレジカウンターに「ショッパー辞退で寄付が行われる」という趣旨のポップが置いてあるのを見て、我が社もやりたいと強く思い、オファーをさせていただいたのがきっかけです。あれは、3年前くらいでしたかね。
水谷:そうですね。担当者さんからご連絡をいただいて。お買い物をしてくれる方々を巻き込み、一緒にストーリーを描いてもらえる素敵なプロジェクトだと感じます。
安藤:レジのシステム導入など、様々な準備期間を経て、ようやく実現できるのが嬉しいです。当社では環境に配慮した視点を取り入れるべく、昨年サステナブルチームを発足したんです。オーバーライドでは今年行ったリブランディングのタイミングでショッパーを全て適切な森林管理が行われた紙に変えていたり、開発中のサステナブルなエコの商品をさらに増やしていきたいという思いがあったりするので、タイミングもすごく良かったですね。
more treesさんの、「都市と森をつなぐ」というコンセプトが、きっとお客様にも共感していただけると考えています。
水谷:ありがとうございます。創業当初からのコンセプトで。「森は人類にとって大事だと思いますか」と聞かれたらきっと全員がyesと答えると思うんですが、それを日々の生活の中で感じるかと言われるとそうではないですよね。そんな精神的にも物理的にも分断されてしまった都市と森を緩やかに繋いでいく役割を果たせるんじゃないかと思って、この十数年やってきました。なので、こういった企業さんとの接点も大切にしています。
お買い物を通じてジョインできるというのは、手軽さもあるし、まずはそういう身近なところから、肩肘張らずに森の存在や大切さを感じてもらえるきっかけになると嬉しいですね。
安藤:そうですね。8月10日が帽子(ハット)の日なので、それに因んでまずは8月にキャンペーンとして始めることにしました。お客さまと一緒にトライできる今回の新しいプロジェクトに、私たちもワクワクしています。
私たちが日常でできることや、今後の展開
安藤:環境保全に取り組まれている水谷さんが、私生活ではどのようなことを意識されているのか、サステナビリティを勉強中の身としては気になります。
水谷:僕もジャンクフードは食べますよ(笑)。でも、お買い物って投票だと思っていて。例えばエコ素材の商品買うことは、そういう商品や活動をプロデュースしている企業を応援することにつながりますよね。自分が日々何かに投票していると意識することは大切かもしれません。あまりやりすぎるとストイックになっちゃうので、潔癖なわけではないのですが…知らず知らずに変なところを応援しないように気をつけたいなとは思っています。なので、逆にいうと、ここだけは買わないみたいなブラックリストがあってもいいかもしれないし(笑)。
安藤:私も、頑張っている企業さんをお買い物で応援しています。一時は、ストイックにやっている時期もあったんですが、今は自分の納得のできる心地いい向き合い方に辿り着いたという感じです。お洋服だと好きなヴィンテージをたくさん取り入れてみたり…。
水谷: 買い物をするときに認証ラベルの存在や種類を知って意識してみるのも手ですね。企業としては、そんなアンテナを張っている人たちにキャッチしてもらえるように、木材や森林に関係した情報も、もっと流していきたいなと思っています。
安藤:そう言えばmore treeさんが国産の木材を使用して作られているオリジナルプロダクトがどれもこれも本当に素敵ですよね。以前作られていたクリスマスのオーナメントや、升なんかもとても可愛くて。これからもぜひ一緒にサステナブルで楽しくなるような取り組みをしていきたいです。
水谷:活動で得た国産木材を使って、家具やそういった気軽に取り入れられるアイテムもいくつか作っています。そうですね、今後の取り組みも楽しみにしています。そして、自然との繋がりをより多くの人に感じてもらえることを願っています。
2020年 帽子の日の取り組みについて詳しくはこちら
考えよう。地球のためにできること。- Hats for Green Project>>
Words:Mai Otsuki Photos:Seiji Watanabe Edit:Misaki Yamaguchi