『帽子のオアオア物語』Vol.19 ソンブレロの話|OVERRIDE
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『帽子のオアオア物語』Vol.19 ソンブレロの話

『帽子のオアオア物語』Vol.19 ソンブレロの話

ソンブレロには、メキシコの民族帽という印象があります。

私のソンブレロ体験は、1950年代の音楽に遡るのです。それは、「トリオ・ロス・パンチョス」メキシコの三人組の歌手。当時は、「トリオ・ロス・パンチョス」を名乗っていましたが。

トリオ・ロス・パンチョスは、上から下までメキシコの民族衣裳で、当然ながら、頭には「ソンブレロ」をかぶっていたのであります。

ところが大人になってから分かったことは、「ソンブレロ」sombreroは、単に「帽子」だという。それは「ソンブラ」sombra からきていて、「影を作るもの」の意味。直訳すれば「影を作る帽子」ということなのでしょうか。

たとえば、「ソンブレロ・フレキシビレ」は、「ソフト・ハット」の意味になります。「フレキシブルな帽子」だから、「ソフト帽」というわけなんでしょう。

ソンブレロが出てくるミステリに、『優雅な町の犯罪』があります。1994年に、キャロル・G・ハートが発表した物語。

「………黄色の丸いレイン・ハット、銀の縁取りがついた山高の黒いソンブレロ………」。

「山高の黒いソンブレロ」。惹かれてしまいます。「銀の縁取り」。ますますもって。

シルヴァーのトリミングのあるソンブレロ、ぜひかぶってみたいものです。

出石尚三

出石尚三

服飾評論家、ファッション・エッセイスト。国際服飾学会会員。主にメンズ・ファッションの記事を執筆。著書も多数。60年代にファッション・デザイナー・小林秀夫の弟子となったのが、メンズ・ファッションの道に入った最初。幼少期からお洒落好き。好きな作家はサマセット・モーム。好きな画家はロートレック。好きな音楽家はショパン。好きな花は薔薇(ばら)。好きな色はピンク。好きな言葉は「夢」「希望」「愛」。昔の服からふっと新しいアイデアを頂くこともある。