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『帽子のオアオア物語』Vol.12 フェザーの話

『帽子のオアオア物語』Vol.12 フェザーの話

フェザーもまた、帽子の大切なアクセサリーであります。

私なども、きれいな羽根を見つけると、お似合いの帽子に挿したりするものです。

それはちょうどスーツの襟穴に花を飾るのに似て、一変します。驚くばかりに。

帽子のフェザーも、見慣れた帽子の表情を、たちまちに変えてしまうものがあります。

少し古い話ですが、壇 一雄が、昭和二十八年に、『降ってきたドン・キホーテ』という愉快な小説を書いています。

物語の主人公が、ドン・キホーテと、サンチョ・パンサを迎えに行く話なのです。

彼らに、洋服を着せるために、準備を。古着屋に。主人公は、チロリアン・ハットを買う。そして、店主に言う。

「何かこう、女帽子の羽根飾りのような奴をピーんとつけてサービスしてくれないか。」

時代も、状況もすべて違ってはいるのですが。

帽子を上手にかぶる点については、核心を衝いていると思います。

やはり壇 ふみのお父さんだけのことはありますね。

出石尚三

出石尚三

服飾評論家、ファッション・エッセイスト。国際服飾学会会員。主にメンズ・ファッションの記事を執筆。著書も多数。60年代にファッション・デザイナー・小林秀夫の弟子となったのが、メンズ・ファッションの道に入った最初。幼少期からお洒落好き。好きな作家はサマセット・モーム。好きな画家はロートレック。好きな音楽家はショパン。好きな花は薔薇(ばら)。好きな色はピンク。好きな言葉は「夢」「希望」「愛」。昔の服からふっと新しいアイデアを頂くこともある。