『帽子のオアオア物語』Vol.15 ベルジェールの話
「ベルジェール」という名前の帽子があるんだそうですね。主に、婦人帽。
bergère と書いて、「ベルジェール」と訓みます。
ベルジェールはストロー・ハットなのですが。ブリムが広く、クラウンが平らであるのが、特徴。
ベルジェールはもともと、「羊飼い」の意味があります。つまり、本来は「羊飼い」のかぶる帽子だったのでしょう。それが、十八世紀のフランスで、流行。何が流行るか分からないものですね。
ストロー・ハットのクラウンはたいてい丸くなっていますから、フラットなヤマはたしかに目立ったことでしょう。
もっとも帽子全体で眺めれば、フラット・クラウンがないわけでもありません。
スペイン発祥の「ガウチョ・ハット」。あれもまた、フラット・ブリムに、フラット・クラウンが特質のものです。gaucho は、南米のカウボーイのことです。
もう一度、「ベルジェール」に戻りますと、1860年代の巴里でのモオドになったことがあります。
ベルジェールの場合、たくさんの花とリボンで飾る帽子で、特に夏用と限ったものでもありません。
もう帽子が見えないくらいの「ベルジェール」、誰か作ってくれませんか。