【羊毛サウナハットの作り方】ハンドメイドとOVERRIDEではどう違う?
サウナ人気の広がりとともに、日本のサウナでも目にすることが増えてきたサウナハット。今では様々な素材のものが売られていますが、サウナハットの原点としてイメージするのはやっぱり羊毛フェルトを使ったものではないでしょうか。
帽子専門店オーバーライドでも、これまで使われていなかった機能性に優れた素材を使ってサウナハットに加えて羊毛のサウナハットを発売!でもちょっと待ってください。帽子専門店が本気で作るサウナハットは、「牧歌的でかわいい羊毛サウナハット」と少し違います。ここでは、ハンドメイドの羊毛サウナハットとオーバーライドの羊毛サウナハットの違いを、実際の製作現場の写真を使って分かりやすく解説します。
●目次
サウナハットをかぶる理由
ハンドメイドの羊毛フェルトサウナハットの作り方
【イージーケア&持ち運びやすい】オーバーライドの羊毛サウナハットの作り方
帽子専門店の羊毛サウナハットはここが違う
他にもいろいろ!帽子専門店が本気で作ったサウナハット
サウナハットをかぶる理由
サウナハットは、サウナの本場・フィンランドやロシアなどでは一般的なアイテム。サウナで帽子を被る理由は「のぼせ防止」「髪を守る」の2つあります。
①のぼせ防止
サウナ室に長く入り、頭が温まりすぎてクラクラするのは良い状態ではありません。サウナハットを被ることで、頭を熱から守りのぼせを防ぎます。
②髪を守る
高温で乾燥している場合もあるサウナ室では、髪がパサパサになってしまうことも。サウナハットで覆うことで、髪をダメージから守ります。
熱から頭を守るためにかぶるサウナハットは、何より断熱性が重要。サウナハットの原点ともいえる羊毛のサウナハットは断熱性や吸放湿性に優れ、サウナハットを代表する素材だけあって機能面でも理に適っています。サウナの本場、フィンランドやロシアではもちろん日本でも羊毛のサウナハットを愛用する人が多いのも頷けますね。
ハンドメイドの羊毛フェルトサウナハットの作り方
オーバーライドの羊毛サウナハットの作り方を解説する前に、まずは羊毛の繊維を使ってサウナハットを手作りする方法を簡単にご紹介します。
1.頭より二回りほど大きい型紙にウール繊維の集合体をちぎって並べる
2.石鹸を溶かしたお湯をかけ、こすってフェルト化する
3.表と裏、交互に繰り返す
4.被り口をカットして型を取り出し、裏返す
5.お湯ですすいで絞り、乾かしたら完成
ハンドメイドの羊毛サウナハットは断熱性に優れているだけでなく、デザインのオリジナル性が高く、ぬくもりがある素材と相まってとても愛着が湧く素晴らしいサウナハットです。一方で、洗濯すると縮みやすかったり、縮んだものを無理に伸ばして元に戻そうとすると型崩れしたり破れてしまったりする心配もあるので、取り扱いには注意が必要です。
ハンドメイドの羊毛サウナハットとは異なりますが、フェルト生地を縫い合わせたタイプも縫製箇所がほつれやすいなど、取り扱いに少し気を使わなければならない場合もあります。
【イージーケア&持ち運びやすい】OVERRIDEの羊毛サウナハットの作り方
オーバーライドの羊毛サウナハットは、ウールフェルト特有の愛らしさはそのままに機能性をプラス。ウールフェルトのベレー帽などで使われる、帽子では一般的な作り方をベースに、日本の高度な技術を持つ帽子工場で、通常行わない工程を加えることで機能的に優れたウール100%のサウナハットを完成させました。では、その工程を見てみましょう。
1.編立
高品質なウールの毛糸を使い、通常の倍以上の時間をかけて縫製箇所が無い巨大なニット帽を作ります。
オーバーライドの羊毛サウナハットは、ウールの“繊維”を並べたものを縮絨させるのではなく、ウールの“糸”を編んだ縫製箇所がないニット生地を縮絨。そうすることで、耐久性がありながらも柔軟性に優れた素材になっています。
この柔軟性によって、洗濯の際、脱水後に多少縮んでも生地を伸ばすことができ、少し形を整えて自然乾燥するだけで簡単にサイズの微調整が可能になっています。
2.縮絨
一度に約24枚をドラム式洗濯機に入れ、熱湯で90分ほどかけて縮絨させます。
断熱性と耐久性に優れた生地にするために、一般的なウールフェルトのベレー帽より3倍以上の時間をかけて縮絨させ、生地に厚みを出しています。
縮絨前後のサイズ比較。こんなに縮みます。
3.毛刈り
生地に傷をつけないように注意しながら、バリカンで余分な毛を刈っていきます。特に刈るのが難しい丸みのある所も均等に刈ることで、綺麗に仕上がります。
4.撥水加工と型入れ
オーバーライドのサウナハットは、濡れて断熱効果が弱まるのを極力防ぐため、羊毛の天然の撥水性に加えてさらに撥水加工を施すことで、より水が染み込みにくくします。
撥水加工液に浸して脱水後、乾く前に型入れをして形を作ります。
コンロで金型を加熱し、帽体を乾かして形作っていきます。
5.つば先をカットし、ネームを縫い付ける
ミシンで丁寧にネームを縫い付けます。
6.水で洗濯して脱水
内側に丸めた洗濯ネットを入れた状態で洗濯ネットに収めて、型崩れしにくいように洗います。このようなウール素材の一般的な帽子は一度型入れしたら、型が崩れてしまうため洗いませんが、このサウナハットは家庭で洗濯したときの縮みを抑えるため、もう一度洗います。脱水は優しく30秒ほど行います。
この水洗いで、乾いた時のサイズが61cmから60cmに縮みました。
7.形を整えて自然乾燥
洗濯後に形を整えたら、内側に薄紙を入れ乾きやすくし、形をキープしながら自然乾燥させます。
8.三つ編み・ブランドネーム付け
オーバーライドの羊毛サウナハットのアイコンである三つ編みは、本体部分と並行して別々に製作し、最後の段階でてっぺんに縫い付けます。頑丈に取り付けるため本体に10回以上、手作業で縫います。
この三つ編みはデザインのアクセントになるだけでなく、手すりなどに括り付けることができたり、本体をくるっと丸めて留めたりするのにも役立ちます。
一般的な羊毛フェルトのサウナハットは長時間丸めると型崩れが心配。オーバーライドの羊毛サウナハットが丸められるのは、柔軟性に優れているからこそ。
ブランドネームは、被る時に前後を分かりやすくするため内側の真後ろに付けます。被った時にネームが頭にあたって気になる方のため、取り外しやすいように手縫いで、表側にステッチが出ないように丁寧に付けます。
9.検針・検品後、下げ札を取り付けて完成
検品は、検針機のセンサーテストをしてから行います。表面を通したら、本体の裏表をひっくり返してもう一回。
ブランド下げ札を取り付けたら、下げ札の変色を防ぐため間に紙を敷いて出荷します。
ひとつずつ丁寧に作られたサウナハット。皆さんのお手元へ、いってらっしゃい。
帽子専門店の羊毛サウナハットはここが違う
サウナをこよなく愛するデザイナーが手掛ける、帽子専門店オーバーライドの羊毛サウナハット。その特長をまとめました。
1.柔軟性があり、好みのフィット感に微調整できる
オーバーライドの羊毛サウナハットは縫製箇所が無いニットを縮絨した生地なので、ご家庭で洗濯する際、脱水後に生地を伸ばしてから乾かすとサイズの微調整ができます。
2.使用するのは「毛糸の芸術品」
オーストラリア南部で飼育されているメリノ種の羊。その中から選ばれた柔軟性と弾力性に富んだ羊毛を使用し、高度な技術で紡がれた高品質な毛糸を使用しています。
3.優れた断熱性
帽子の材料として一般的なウールフェルト帽体より生地に厚みがあり空気を含むため、断熱性に優れています。
4.撥水加工
水に濡れて断熱性が弱まるのを防ぐため、羊毛が持つ天然の撥水性に加え、さらに撥水加工を施し、水を染み込みにくくしています。
5.くるっと丸めて持ち運べる
一般的な羊毛フェルトのサウナハットは、折りたたむと型崩れしやすかったり、かさばったりと持ち運びの際の不便が付き物。一方、オーバーライドの羊毛サウナハットは丸めててっぺんの三つ編みで留められるため、携帯しやすくなっています。
6.掛ける場所の選択肢が多い
てっぺんの三つ編みを使って、水風呂や浴槽の手すり、ととのい椅子の肘掛け、木など、フックが無い場所でも巻き付けて吊るすことができます。濡れにくい置き場所の選択肢が増え、できるだけサウナ室から水風呂までの導線を妨げないための機能的に優れたデザインです。
他にもいろいろ!帽子専門店が本気で作ったサウナハット
今回は羊毛サウナハットをご紹介しましたが、オーバーライドが作るサウナハットはこれだけではありません。全4種、どれもがデザイン性と機能性を両立したものばかり。一つひとつの個性を知って、お好みの1点を選んでください。
サウナハットの選び方を解説したページもぜひチェックを。